普通の船型では、船首波と船尾波が合成されたものと考え、この合成波は船首波の山と船尾波の山、船首波の谷と船尾波の谷がかさなったときに最も大きな波となり、山と谷、谷と山がかさなったときに最も小さな波となる。この合成波の大きいということは造波抵抗の大きいことを意味し、同様に合成波の小さいということは造波抵抗の小さいことを意味する。したがって造波抵抗の速度に対する曲線は、速度の変化に応じて船首波、船尾波の干渉状態こよってできる山と谷をもった波状となる。
(1) 造波抵抗係数
船の初期設計において常用速力を、造波抵抗係数曲線の谷の付近のフルード数となるように計画する必要がある。
(2) 模型船による水槽試験
フルード数が一定であっても、船の造波抵抗の大きさは船型によって様々に変化する。
造波抵抗を求めるには、理論による方法と、模型船による水槽試験を利用する方法とがある。理論計算だけで任意の船型の造波抵抗を求めることは、まだ、実用の段階にいたっていない。したがって、現在では水槽試験によって造波抵抗を求める方法が最も確実である。しかし、造波抵抗理論を基礎として、数多くの水槽試験結果について統計的な処理を行って求める方法も工夫されており、この方法によれば、比数的やせ型の船型に対し、かなり精度のよい造波抵抗を推定することができる。
水槽によって、模型船の抵抗試験を行ない、模型船のワールド数に対し造波抵抗係数を求め、「幾何学的に相似な船型は、同一フルード数における造波抵抗係数の値は相等しい」というフルードの相似則により、実船のフルード数に対する造波抵抗係数の関係が得られる。
また、模型船の抵抗試験で、造波抵抗が生じない極めて低速の部分で計測した抵抗(粘性抵抗)と計算で求められる模型船の相等平板の摩擦抵抗より、この船型の形状影響係数が、同時
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